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2015年11月 7日 (土)

『「トヨタ式」大全 世界の製造業を制した192の知恵』

今回は模型とは殆ど関係ありませんがモノをつくるということに関連することといってもいいかな?とにかく長文注意ですので、関心なさそう、と思われる方はスルーしてください。

ということで……

勧められて『「トヨタ式」世界の製造業を制した192の知恵』という本を読んでいます。まだ半分くらい読んだところですけど。

なるほどなあ、「製造業」の会社を運営したり、そういう職や作業に従事している者にとって、すごく示唆に富んだ、そして当たり前のようでいて当たり前でない、ということばかりがならんでいて、いろんな意味で感心してしまいました。

「勉強になりました」じゃなくて「感心してしまいました」と書いたのは、なるほどと思ったり、ああこれはまねぶ(注「学ぶ」にあらず)べきことだな、とうなずきながら読むと同時になんだかふくざつ~な気分にもなったからでして。

本の中には、製造ラインだけじゃなくてスタッフ部門、間接部門、すべての個人の仕事や生活にも適用できるのが「トヨタスタイル」だとかかれていますし、きっとそうなのだろうと思いますが……

「が……」なんですよね。

自分が歳食ってそろそろ仕事を首になろうかというのに、いまさらこういうことを勉強してなんになる、という意識もあるのかもしれませんし、単になまけものの性格がそういう感情を引き起こしているだけなのかもしれませんが……

「が……」なんですよね。

トヨタ式の基本中の基本として、「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底」、「ムラ、ムリ、ムダ(この順でないとダメ)の排除」、「なぜを5回繰り返すこと(原因がわかるまでなぜと問うこと)」、「トップの熱意」というのが紹介されてます。

とてもよくわかるのですが、そのなかに「1ヶ月以上使わなかったモノ、この先1月内に使う予定のないモノは不要品として処分すること」というのがあって、これが気になって気になって。

課題(速く安く不良品を出さずに製造すること)が決まっているラインでの問題解決の手段ならそれがまず基本中の基本だと言うことはよくわかります。ただ、なにかしらこれまでつくったことのないものをつくり出すとか、試行錯誤しながらものをつくっていくとか、そういう場面では、それこそ数十年前から延々と溜め込んだ素材や部品や工具やがらくたやゴミ、廃品などが山のようにあっていつでも手の届くところにあることが必須のような気がしてなりません。

何を溜め込んでいるのか把握しているのかとか、置き場所がわかっていてすぐ取り出せるのかなんてことは、この際関係ないように思います。がっちゃがらがらとおもちゃ箱をひっくり返して出てきたモノを眺めてそのなかからアイデアを拾うこともありだと思いますから。

そこのところで根本的なずれがあるのかな、という気がしました。トヨタ式を適用するのはあくまでも仕事として製品を生産する場面です。自分が考えているのは、楽しみのためだったり創作(そんなえらそうなもんかどうかはべつとして)のまねごとに関わるモノだったりするからじゃないか、といま気づいてこうして書いているところです。

うん、そうに違いないと確信します。

だから、「トヨタ式」の効用は素晴らしいと思いますし、もし、自分が製造業やラインの仕事に関わっていて、かつ悪質な労組やくざの妨害やサボタージュに悩まされて神経をすりへらし精神を病んだりしないで済むのなら、本当に真剣に実行してみたい、いや、してみたかった知恵がオンパレードのテキストだと思います。

余談ですが、じつはこの本、書店で少し立ち読みして、それから図書館で予約したのですけれど、貸し出し順が来るまで3ヶ月。しかも貸し出された本(文庫本)は新品でした。よほどリクエストが多く、よく読まれていて、すぐにぼろぼろに劣化してしまうのでこうやって常に新品と入れ替えているのじゃないかと思います。

ということで、結局のところ、「感心」あらため「勉強」になった、と書き直したいところですが……

「が……」なんですよね。

「なぜを5回」といういい方も気になって気になって。

というのも、何か問題が起こったとき「なぜ」って問いかけると、ほぼ確実に「いいわけ」か「責任転嫁」または「感情的な反発」しか返ってこないという苦い経験があるからで、これは自分がいた職場の特性にも寄るのだろうとは思いますが、ほとほと手を焼いたのが影響しているのだと思います。

で、この文を読んだときに、「なぜ、じゃないだろう。何が問題か、という問いかけでないと」と反射的におもったわけなんですが、なんと、読み進むうちに、アマゾンの創業者『ベゾスが「何が問題なのか」と問いかけることで、表面的な解決ではなく、真の改善を目指そうとする。』という文がでてきて苦笑してしまいました。

「なぜ」というのはトヨタ用語で「何が問題なのか」という意味なんですね。トヨタ式を理解するにはこういうトヨタ語を理解することも含まれているようで、このあたりはちょっと大変だなあ、という気もします。

まだ半分ほど読んだところですが、読み進むにつれて、なんだか「トップの役割、責任」が異常に強調されていて、さらにそれを強調していながら下部のライン要員にまでトップの意識を持て、みたいな運命共同体的責任転嫁?を強制するような雰囲気がみなぎってくるのが気になっています。

まあ、この本、ライン要員で終わるような人を相手にはしていないわけでしょうから、それで良いのだろうと思いますが、自分のような人間は、なんだかやる気がなくなるといいますか、モチベーションが低下するといいますか、上の方の連中はこういう風にしてうまくラインを働かせようとしているんだなあ、と「感心」しながら妙な嫌悪感のようなものまで感じる始末で、これはもう、私自身の能力のなさと性格の悪さが原因としか思えない気がしてきてちょっと落ち込みつつある読書途中経過報告でありました。

追記;

もうちょっと読み進んでトヨタ式の個人への応用の章にはいると、やっぱりというかなんというか……出世、成功するには、人間関係、信頼が全ての基礎、そして努力、根性礼賛、24時間仕事のことだけ考えて働けますか?みたいな雰囲気がいよいよ濃厚になってきて、それはまあそうなんだろうでしょうが、つくづくと、落ちこぼれた人もおおいんだろうなあ、自分には耐えられないかもしれないなあ、とか思ってしまった時点で、もうトヨタコミュニティからは無用の人材と判断されちゃうんだろうなあ、などとおもってしまった自分に気づいてさらに落ち込んでいるところです ^^;

追記 2015.11.8

ほぼ読み終わっての感想です。

内容としてはこんなに厚い本になるようなものではないようにおもえました。手を変え、品を変え、事例を変え、エピソードを変え、語り方を変え、繰り返しくりかえしおなじような内容のことが述べられるのが気になりましたが、それくらいしつこく繰り返さないと伝わらないということなのかもしれませんね。

それと、この方式、根性と努力と献身が大前提で、それはほんとうに当たり前のことなのだと思います。ただそれを強制される場合はちょっと問題がでてきそうな気がしますが、そこは自らわき起こる熱意と、人間関係信頼関係の構築でカバーしていく、それによって廻りを巻き込んで熱意を伝染させて自ら根性と努力と献身によって得られる成果、成功体験に喜びを感じられるようにしむけて行くというようなことが述べられているわけで、これも真実だろうと思います。

というわけで、この本は、現場にいて、製造ラインを改善したい人達には非常に参考になる真似るべきことをしつこいくらいに丁寧に解説した、とても参考になる実用啓蒙書なんだと思いました。

問題はこれを個人の生活スタイル、仕事のスタイルに応用する場合の違和感なんですが、要は、身の丈に合った範囲でこの本に書かれていることを真似て、出来る範囲で実施して行けば、きっと得るところも多いのじゃないかという読後感でした。

追記の追記;

結局この本で一番印象に残ったフレーズは、

「いかにすばらしい技術があろうと、画期的な考案をしようと、金を持たない会社なら、しょせん宝の持ち腐れである。佐吉翁は、常々『金のない者に立派な発明なぞできるはずかない』と言っていたが、私もトヨタ入りして初めてその意味がわかった。(以下略)」

これ、なんか、あまりにも現実過ぎてちょっとショックですが、たしかにそうなんです。発明だけじゃなくて、文化文明芸術技術に関わる全てのことがらは、金がなければ、つまり裕福な者でなければ「出来ない」んですよね。貧乏で苦労して成功したなんて美談はそれこそ枚挙に暇がありませんしとても好まれるストーリーですけれど、実際のところはどうだったんでしょう。

大抵はしっかりと援助するパトロン類似の存在がいたり、貧乏で苦労したということ自体の基準が世間とずれていたり、あるいは世間ウケするための虚構だったりすることが多いんじゃないかと思います。豊かでなければ、人間関係も当然豊かではなくなりますからそういう面でも不利不運はつきまといますし、残念ながら、これはもうどうしようもないものなのだろうとおもいます。

あと、もうひとつ、

「大切なのはアイデアや知識ではなく、実行である」

これは、ちょっと誤解を生みかねない言い方だとは思いますが、このすぐ後の文に「大切なのは、考えたことを実際にどこまでやるか」という表現が出てきます。まさにそういうことだろうな、とこの本全体を読んでそう思いました。

うん、まあ、たしかに最後の方はトヨタ偉人伝的な内容が並んでましたけど、良い参考書であることにはまちがいはないだろうな、という感想です。

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コメント

この書物を読んだ訳でもありませんので、我が思いを述べるに相応しくは無いとは思いますが「日本式成功者の××」といった書物には常に違和感を感じております。
単に価値観の相違だけでは片付けられない、勝組のご自慢話にしか感じられない私は所詮マケイヌ?
「人生の主人公は常に自分である」とわが道(模鉄道)をトボトボ行く今日この頃ではあります。

fuu 様

この本は、決して勝組のご自慢話じゃないと思います。現場にいて、製造ラインを改善したい人達には非常に参考になる真似るべきことが詰まっています。

要は、身の丈に合った範囲でこの本に書かれていることを実施して行けば、きっと得るところも多いのじゃないかという読後感でした。

その他、本文にちょっと追記しましたので、ご覧ください。

楽しかるべき趣味のページに個人的なるコメントを致しまして大変失礼致しました。
貴作品の作風および貴ブログの熱烈なるファンでございまして、これからも
おもしろおかしく楽しい鉄道模型道を歩みたいと思っております。

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