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2011年10月23日 (日)

垂直な石垣は……

先日開催された『軽便鉄道模型祭』のリポートが、今月発売の模型雑誌にも掲載されましたね。

keuka氏の「軽便鉄模アンテナ雑記帳」でも、「軽便鉄道模型祭レポートリンク集」としてウェブ上のリポートがまとめられていますので、参加できなかった私も雰囲気を楽しませてもらえました。

いい時代になったものです =^・^=

しかし、やっぱり実際に参加して、作品を直に拝見し、作者の方々ともお話ししたかったなあ、と参加された方をうらやましく思う限りです。モジュールやレイアウトなど、写真ではなくて、ほんとうにまぢかで見たかったですね。

なかでも畑中氏の乙レイアウトは、製作過程から雑誌にも掲載されていたので、興味深くその過程を拝見していましたが、完成した風景はさすがですね。あそこまで短時間のうちにつくり込むなんて、わたしにはできないなあ、と感心しきりでした。

しかし……ひとつだけ、気になることが……というか、以前に「カーブしたデッキガーダー橋って・・・」で触れたことのある感覚と似た、生理的な違和感が……

ホッパーに向かう路線の高い石垣の擁壁が異常に急傾斜または垂直にみえる、さらに場所によっては少し膨らんでいるように見えることです(あくまでも写真からですが)。しかもパターンは玉石積みのような……排水パイプが見えるから練り積みなのでしょうが……

しげしげと見ているうちに、何とも言いようのない不安感がわき上がってきました。

鉄筋コンクリートのL字擁壁なら垂直が当然ですし、アンカー式補強土壁なら相当の急傾斜もあたりまえですが、玉石積みの石垣擁壁で、この高さでこの形状というのは無理があります。

切り土の場合は2メートル以内の高さなら直切り(傾斜90度)でも大丈夫ですが、それ以上の高さになれば土質に応じて必ず傾斜をつけます。ましてや、"岩盤や堅い粘土の切り土"ではなく、基本的に"盛り土"における土留工法の一種である石垣では、土圧を下方に分散させて崩れを防ぐための傾斜がなければ構造的に持ちません。かならず崩壊します。

また、石垣が膨らむ(凸カーブになる)こともあり得ません。もし膨らんでいたとしたら、それは土圧に負けて石垣が崩壊しかけているしるしです。

お城の石垣等で、反り持ちと言って上にあがるに従って傾斜が急(凹カーブ)になり、上端が垂直になっている例(熊本城など)がありますが、これも垂直部分(雨落とし)はどんなに高くても2メートル程度。反り返ってオーバーハングになっている例もあることはありますが、その場合は上端部の石材が土塁の内側に長く入り込んだ構造になっています。

畑中氏は、レイアウトの線路配置をコンパクトにおさめるために、あえてこういうアレンジをされたのだとおもいますが、実際の土木工事の現場を見ている身としては、おそろしくておそろしくて(苦笑)

検索してみたら、石垣の構造については、「石積の各部の呼称、役石と勾配など」というページが見つかりました。

それから、WEB版「神流アトリエの山暮らし」というサイトのこのページには、石垣の構造やその作り方などがとてもわかりやすくイラストで解説されているので、参考になると思います。(ページが消去されてリンクが切れるといけないので、念のため引用掲載しておきます。問題があれば削除します)

Kannaishigaki

一般的な擁壁の構造についてはwikipediaに項目がありましたので、リンクしておきます。

そういえば、鉄道線路築堤部分の法勾配については、古くは坂本氏の摂津鉄道で、主に視覚的効果とスペースの観点から実際より急勾配としてつくられた例があります。坂本氏も実際の工法を百も承知の上でのデフォルメで、不自然に感じさせることなくきれいに風景をまとめられていました。

しかし、この石垣擁壁の場合はとっても怖いです。いつ石垣が膨らんで崩れるか、もう、ヒヤヒヤモノの世界です。

と外野席から勝手な感想を述べさせていただきました(^^;;;

最後にご参考までに、労働安全衛生規則の切土法面勾配に関する基準を転記しておきます。参考になれば幸いです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【岩盤または堅い粘土】
 掘削面の高さ
  5m未満
  勾配90°
 掘削面の高さ
  5m以上
  勾配75°=1/0.27

【その他】
 掘削面の高さ
  2m未満
  勾配90°
 掘削面の高さ
  2~5m未満
  勾配75°=1/0.27
 掘削面の高さ
  5m以上
  勾配60°=1/0.58

【砂】
 掘削面の勾配35°(1/1.43)以下、または高さ5m未満

【発破等で崩壊しやすい状態になっている地山】
掘削面の勾配45°(1/1)以下、または高さ2m未満

注)
特に地質が悪い地山では、さらにゆるやかな勾配とすること。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なお、盛り土の場合はこちらのページが参考になると思います。


2011.10.24 追記

第7回軽便鉄道模型祭の個人的レポート(その3・クリクラでクラクラ)にリポートされている、乗工社のHOナロー9ミリ二段式レイアウト、この石垣も一部は見事に垂直になってますねえ。(例によってリンクが切れるといけないので、画像を引用させてもらっておきます)

20111002151035 20111002153651

前面の石垣の断面が見える部分は傾斜がついていますが、内側の路線の石垣は垂直です。一部は逆勾配になってるんじゃないでしょうか?

この当時は、石垣の構造や勾配なんかまで気にしなかったのだと思います。おおらかな時代だったんですね。それに、スペースの問題からこうならざるを得なかったんだとおもいます。

それにしても、いまみると、ほんと怖い怖い(^^;;;

でも、よけいな知識経験はないほうが魅力的な作品が出来るし気楽に楽しめるのかも、とふとおもったりもします。

2011.10.24 追記2

乗工社のレイアウトの場合、3方に枠壁があるので、見る方向がある程度制限されます。主に、ほぼ正面から鑑賞されることを前提としているわけですね。

そして、正面から断面が見える部分の石垣は傾斜がついていますが、断面が見えにくい角度の部分や奥の方(遠くの方)にある石垣は垂直または垂直に近い傾斜となっています。

つまり、傾斜がないとおかしいことをちゃんと知っていた、意識していた、と考えてよいでしょう。

これは重要な点ですね。知らないでやっちまったというのと、充分知って承知の上のデフォルメとの差は大きいと思います。

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