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2009年5月30日 (土)

鉄道模型界での50歳を境にした世代間の断絶について?

軽便鉄模アンテナ雑記帳に、「50代以上は信じるな」というお題で話が展開されていました。

曰く、この年齢を境に、鉄道模型の原体験がブラス(金属)製かプラ大量生産品かに分かれるので、模型界での世代間断絶が問題になるだろう、とのこと。

安価なプラスチック製の大量生産品に対して、高価で精密な金属製、特にブラス製の製品をスタンダード、高級品と感じるセンスのことを問題にしているのでしょうか。それとも工作するかしないかという工作的指向のことでしょうか。

精密さに関して言えば、40〜50年前、現在50歳前後以上の世代が子供時代、初めて鉄道模型に触れた時代には、一部の超精密モデルや高級品を除けば、入門レベルのブラスモデルの精密さなんて、そのころのNゲージのプラモールドと比較しても、決して自慢できるようなものではなかったはずです。

その一方で、当時、精密なディテールを持つ大量生産品スケールモデルとして、メルクリン製品などに代表されるダイカスト一体成形、一部部品や客貨車などプラスチック成形の完成品が高級デパートの鉄道模型売り場を中心に、たくさん流通していたことにも注意を払う必要があります。

つまり、金属製を高級と感じる感覚について言えば、製品の精密度や、工作材料としての技術的素材的適性などではなく、製品、完成品を所有したときにどういう素材、つまり高級なとか価値があるとか感じられる素材で出来ているか、というきわめて感覚的な、スノッブな要素の影響が強いのではと思えるふしがないでもありません(注*)。

工作好きには材料の違いによる高級感の差なんて、ほとんど意味をなしません。材料の違いに関して、あえて言えば、プラや木や紙は金属に比べて工作も取り扱いも楽ですが、強度がなく経年変化に弱い。一方ブラスなどの金属は、ハンダというやり直しの効く瞬間接着剤が利用でき、強度も高いけれど、工作に時間と専用の工具とテクニックが必要、というくらいのもので、要求する性質、機能や強度によって、適材適所で材料を使いわけるというだけの話です。

よく、しっかりした金属製の模型は100年経っても大丈夫、なんていいますが、模型工作が好きな方には、模型なんて所詮は作ることが楽しみで、所有すること、もしくは、既に完成し調整が終わった作品や市販の製品を走らせることは、その付属的意味合いしかありませんから、保存性などという要素はかなり以上にその優先順位が低くなります(注**)。

しかし、工芸品や骨董的意味合いでのコレクションや投機が目的ということなら話は別です。この場合は保存性が一番大事なポイントになるでしょう。

ということは、50歳を境にした断絶というのは、工作趣味を持つ人の感覚によるものではなくて、完成品コレクターの間での感覚によるものなのでは、と思えます。

また、だいたいにおいて、現在の50歳以上、特に50代後半から上の世代の方々というのは、戦後高度成長期とバブルの恩恵で、特に秀でた才能や能力を持たずとも十分以上の金と地位と安定した生活を手に入れることが出来、底の浅い成功体験による的外れなプライドをもてあましている非常に身勝手で攻撃的な、つまりよくも悪くも積極的かつ活動的な世代でもあるわけで、そういうひとたちの強烈な承認願望、差別化願望が、すべからく、自らの原体験に基づいた「鉄道模型」というものに対する常識や定義を強調し、後に続く世代に対して優位に立とうとしている、というのが「断絶」が問題となる本当の理由なのでは、と感じます。

ま、それにくわえて、かどうかわかりませんが、軽便アンテナ雑記帳にコメントしたように、今年はプラレール誕生50周年にあたるのですね

つまり、50歳前後より下の世代は、プラレール世代(プラスチック製おもちゃ世代)、それ以上の世代はブリキのおもちゃ世代、というわけで、みなさん大好き、わたくし大嫌いなノスタルジー的感覚も手伝って、一部の工作好きな人を除く一般的コレクター寄りの鉄道模型趣味人の間で、軽便鉄模アンテナ雑記帳が危惧するような「断絶」の問題が起こる可能性は、充分以上にあるのではないかと思います。

注* この感覚が高じると、純金で出来たプラレール並みの造形の「シロクニ」だとか「デゴイチ」だとか「貴婦人」などという「エスエル」(苦笑)が、自慢げに床の間に飾られていたりするようになるのだろうなと、ひそかに想像して楽しんでいる次第です。

注** 東京ソリッドモデル展示会で、出品者の方にお話を聞いたときにも、そんな話が出てきました。「何年もかかって丹精こめて作られた作品の保管はどうしているんですか、傷みはないですか」という質問に、「みなさん、作るのが楽しいんですね。だから、保管はいいかげんなもので、私もですけど、段ボール箱に放り込んであるのなんてざらですよ。飾ったりなんかしているのは珍しいですね。ほんとうは、博物館みたいにアクリルケースに入れて湿度管理なんかしないと長持ちしないのはわかってるんですけどね。だから、展示会に出すというので箱から出したら塗装にひびが入っていたりして(笑)。ほかにも他人にあげちゃったり、手元に残っている作品の方がすくなかったりするんじゃないですか」という返事が返ってきました。工芸品として見たら、それこそ何十万円と値段がつきそうな作品でもこの調子です。また、材料も伝統的な木製だけではなくあらゆる材料を適材適所で使いこなしているとのことでした。ですからモデラーとしては、木製のソリッドであることに特にヴィンテージ的な価値など見いだしてさえもいないというのが実情のようです。


2009.5.30 追記

模型工作好きに取って、保存性など二の次みたいに書きましたが、もちろん作った後も長く確実に正常に動作する、もしくは形を保つ事を目的とする場合はまた話が別です。耐久性のある、経年変化が少ない材料をつかい狂いが出ないように工夫する事もまた、工作の目的の一部となります。それがたまたま保存性の良さと一致するだけの話です。

ところで、実用品の場合は、とにもかくにも、保存性?つまり耐久性信頼性が問題になります。たとえば、以前に取り上げた事のある病院カルテ搬送システムの抜群の耐久性信頼性は的確なメンテナンスに裏打ちされているとはいえ、あらためて感嘆すべきものですね。

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